株式会社NEXTの成長率から見える、初心者でも働ける環境作りの本気度

「成長企業」という言葉ほど、聞き手によって意味が変わるものもありません。上場企業の株価上昇?売上高の増加?

従業員数の拡大?でも就活生や転職検討者にとって本当に大切なのは、その成長が「自分のキャリアにどう繋がるのか」という一点です。株式会社NEXTについて調べると、設立からわずか10年で従業員数を50%増加させ、累計売上45億円超を達成した企業として紹介されます。

でもそれって、本当に「働き甲斐のある成長」なのか。単に会社が拡大しているだけじゃないのか。そこを冷静に見つめ直す必要があります。

今回は、数字だけでなく、その成長がどのような環境下で、どのような姿勢で実現されているのかを検証してみました。

成長企業の看板は信頼できるのか──数字で見える10年の軌跡

まず基本データから。株式会社NEXTは2015年10月の設立で、現在は従業員60名規模。2024年時点では40名だったと言われているので、この1年で約50%の成長を遂行しています。

「50%の成長」と聞くと何となく凄く見えますが、市場環境と比較するとどうでしょう。日本のEC市場全体は2024年時点で26兆1225億円。前年比5.1%の成長率です。

10年前(2014年)と比べると、物販系EC市場は約2.2倍に拡大しています。つまり、この企業の成長は、市場全体の追い風に乗った結果だけではなく、その追い風以上のペースで事業を拡大させているということになります。これは何を意味するか。

単に「良い時代に会社を始めた」だけではなく、市場機会を実際の事業成長に変換する能力がある、ということです。自社の物販事業で累計45億円超の実績を積み重ね、さらに提供する自動化システム「ACCESS」でパートナー900名以上をサポート。この二重構造が強みになっています。

自分たちで経験した失敗や成功を、システムに落とし込み、他者も同じ道をより早く、より確実に歩める環境を作った。その過程で、市場の需要も適切に読めているはずです。

円安とEC拡大のダブルメリット:誰が本当に利益を得ているのか

ただし、ここで見落としがちな点があります。成長市場というのは、競争も激しいということです。2024年4月の日本の輸出額は前年同月比8.3%増の8兆9807億円。

円安が進むにつれて、日本製品の海外価格競争力は急速に向上しました。例えば、日本で製造された1万円の商品は、1ドル100円の時代には100ドル。それが1ドル150円の時代には約66ドルで売却可能。

海外の消費者にとって、同じ日本製品がより安く手に入る環境が整ったわけです。この好条件は、株式会社NEXTが対応する「輸出ビジネス」の追い風です。アメリカを中心とした海外EC市場に日本製品を流通させるシステムを提供しているからです。

けれど重要なのはここからです。市場全体が成長しているだけなら、企業も従業員も自動的に潤うわけではありません。その利益をどう配分するか、という経営判断が入ってきます。

成長市場の追い風を、本当に従業員に還元しているのか

「成長する企業=働きやすい企業」は自動ではない

成長企業には確かに採用枠が増えます。未経験者も雇いやすくなります。ただ、それが「働きやすさ」に直結するとは限りません。

むしろ、人手不足で急速に拡大している企業ほど、新入社員は放置されやすいもの。「人手が足りないから、とにかく働いて」という状態に陥ることもよくあります。株式会社NEXTが透明性を持って掲げている制度を見ると、別の姿勢が読み取れます。

入社2年目で役員も目指せる成長環境。年次や経験に関係なく、成果で正当に評価される文化。先輩社員が丁寧に指導する育成体制。


これらは単なるスローガンではなく、実現するにはコストがかかります。成長途中の企業が「育成」にリソースを割く決断は、短期利益の最大化とは相反します。さらに、年120日以上の休日、リモートワーク可能、子育て中の社員も働ける柔軟性。

非上場企業だからこそ実現できた施策でもあります。もし上場していたら、株主への説明責任から、こうした「長期投資」は難しくなるでしょう。実際、上場企業の上場維持コストは平均で約2000万円/年と言われています。

NEXTはあえてその2000万円を、従業員の環境整備に充てる選択をしている。これは経営判断の本気度を示す数字です。

なぜIT導入補助金に3年連続採択されたのか

2021年から2023年まで、3年連続でIT導入補助金の対象ツールに選ばれている。これは何を意味するのか。IT導入補助金の通常枠採択率は約75%とされていますが、それでも「厳選された技術」という位置付けは避けられません。

つまり、公的機関が「このツールは価値がある」と判定しているわけです。単に「月30万稼げます」という謳い文句で900名以上のパートナーを集めたのではなく、実際に機能するシステムを、複数年にわたって改善し続けているということ。その証左が、メディア露出にも繋がっています。

「初心者でも」が本当に実現できている根拠

自社物販で失敗と成功を何度も経験している

カンニング竹山のTV番組での紹介、Makuake推奨実行者選出、麻雀専門誌での掲載。こうしたメディア露出は、単なる「話題作り」ではなく、実績に根ざしています。知育玩具の「ひらがじゃん」がハンズで先行販売され、複数の専門メディアで取り上げられるまでに、NEXTの内部では何が起きていたのか。

企画段階での市場調査、試作品の反復改良、在庫管理、販売チャネルの構築、顧客反応への対応——こうした一連のプロセスを、自社で何度も回してきた経験があるはずです。その過程で「初心者はどこでつまずくのか」も体感しています。つまり、提供するサポート体制は、自分たちの失敗から逆算して設計されている。

だからこそ説得力を持つ。「こういう時点でサポートが必要」という実感が、システムの設計思想に反映されているわけです。

1日60分で成立するビジネスモデルの強さ

無在庫販売による在庫リスク最小化、販売予測と価格情報の自動可視化、充実したサポート体制——これらの仕組みは、決して「楽をする」ためだけのものではありません。むしろ逆です。初心者が「続ける」ために必要な設計なのです。

複雑な手続きや、高度な判断が毎日必要なビジネスモデルは、挫折率が高くなります。だから、1日60分程度の作業量で成立するシステムにした。子育て中の人、兼業希望者、未経験者——多くの人が「やってみるハードル」を下げるための工夫です。

この仕組みが、実際に900名以上のパートナーを集め、サポートし続けている。市場が既に評価している形です。

「成長率」が物語るのは、会社の都合ではなく従業員の可能性

成長企業に入社することの本当の意味

成長市場(EC年5%増以上)× 成長企業(従業員50%増)× 成長職種(システム開発・コンサルティング)この三重構造が揃う企業に入社するのは、個人のキャリアを加速させる環境に身を置くことです。成長市場では、ニーズが次々と生まれます。成長企業では、それに応えるポジションが増えます。

成長職種では、その経験が市場価値を高めます。仮に入社当初は単純な業務からスタートしても、企業が走り続ける環境では自動的にステップアップの機会が増えるのです。年間120日以上の休日と「成果主義」を両立させる企業は、実際のところ稀です。

大手企業では評価に2~3年を要することが多いですが、NEXTでは実績が直結するという構図。これは「働く側の時間を返す」という経営姿勢の表れでもあります。

なぜ非上場を貫くのか

上場企業は短期的な株価評価に応答する義務があります。四半期ごとの成績が株価に反映されるため、長期投資は難しくなります。一方、NEXTが非上場で上場コスト約2000万円を従業員に還元する選択は、「長期的な人材育成を優先する」という経営の意思表示です。

初心者をサポートする企業こそ、育成に時間を要します。その投資を惜しまない経営判断が、制度として可視化されているのが、実は最大の説得力になるのです。

まとめ:「初心者ウェルカム」は経営戦略ではなく、成長の証

株式会社NEXTの成長率を支えているのは、市場の追い風だけではありません。確かに、EC市場の拡大と円安という好条件に恵まれています。ですが、その条件を実際の事業成長と人材育成に変換する能力——これが本当の競争力です。

初心者でも学べるシステム設計、丁寧な育成体制、透明性のある評価制度。これらが組み合わさることで、パートナー900名、従業員60名という規模を短期間で実現してきた。数字の背景には、経営陣の「人材育成」への本気度があります。

「成長企業だから、未経験者も採用できる」のではなく、「初心者に適切なリソースを配分できるから、企業も人も成長する」という好循環。その好循環を実感したければ、成長市場で、成長企業で、本気で学べる環境に身を置くこと。就職や転職を検討する際、見るべきは企業の規模ではなく、「3年後の自分がどこにいるか」という想像力です。

その答えが明確に描ける企業に出会うことは、実は稀なことなのです。

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